戦略における観点について記載します。
実際には、個別の状況に合わせた考え方や観点が必要なため、抽象的な内容を記載します。
戦略を「競合に対する目的(優位性確保や差別化など)を達成するための計画」と想定する場合、
優位性の確保のための方向性としては、「リソースに対する影響力の増加」を目指すと考えます。
なお、差別化とは、特定の領域における優位性の確保と考えます。
リソースについて:
人、物、金、時間、情報、評価、意思 など、組織や個に関わるものを想定します。
意思については、疲労、優先度などを想定します。
影響力について:
変化させる能力を持つことと想定します。
影響力の大きい状態は、所有、決定権を持つなどがあります。
決定権については、直接的なものと間接的なものがあります。
それぞれが多かれ少なかれ、時間的なものも含め影響力の増加を目指すと考えます。
考え方のベースとして、自然界の競争や歴史 等が参考になると思われます。
例えば、生物の多くは、他の生物と意識的であるかどうかに関わらずリソースをめぐって
競争していることが多いと想定されるためです。
基本的に生物が生存するためには、何らかのリソースを使用します。
呼吸や食事などです。
何かを食べる場合は、他の生物を食べる場合が多いです。
目的の達成(成長や生存の継続)のために、自分達の利用可能なリソースを増やすことを目標とすると思われます。
資源は無限ではないので、特定の個体の影響力が大きくなるとほかの個体は脅威を感じやすいです。
そのため、単純に自分達のリソースを増やすこと以外に、
相手側のリソースを減らす(相対的に自分の資源比率が大きくなる)場合があります。
同時に行う場合は、相手からリソースを奪うことになる場合もあります。
また、お互いにリソースを増やすため協力する場合もあります。
少ない消費資源に対して、より大きな影響を与える点が要所や急所と考えられます。
戦略における観点として考慮が必要な事項は、状況に応じて変わると思われますが、
下記のようなものがあると考えます。
① 領域の確保(特定の領域に特化する。または、領域をつくる)
② 効率・価値の増加(無駄を減らす、または価値を増やす)
③ 拡大(優位性を利用して領域を広げる)
④ 作用と反作用(自分たちの行動が他者に及ぼす影響に注意する)
⑤ つながりの考慮(周囲の環境等への影響や、過度なバランスの欠如に注意する)
⑥ 備え(状況の変化に注意する。自分たちに影響を及ぼす、自分たちの影響力の範囲外の事象や予兆に注意する)
以下に①~⑥の内容を記載します。
①「領域の確保」
おそらく基本的には環境に対してより適応する生物が繁栄しやすいと思われます。
汎化することで幅広く適応する場合もあると考えられます。
ただし、特定の環境に特化したほうが有利となりやすいので、特化がすすむことが多いと思われます。
しかし、環境の変化により、特化した生物は特化したがために危機に瀕しやすいと思われます。
一般的には競争は互いのリソースを消耗すると考えられます。
競合によりリソースを消耗するより、棲み分けを行うほうが消耗が少なくなります。
ただし、競争をしない状態がつづくと、新たに競争を強いる相手に対して脆弱になりやすいです。
環境に対して自身が適応するだけでなく、環境を変更して自身に適応させることもあります。
生物では、蟻塚などのイメージです。
人間も大きく環境を変更しています。
環境を変更する場合、他の生物に対する影響や脅威が大きいです。
相手方も環境を変更する場合、競争が激しくなると思われます。
②「効率・価値の増加」
優位性獲得のための行動パターンや選択肢は、
本能(遺伝子かどうかは不明ですが、遺伝的に伝わるもの)、学習(環境から学ぶ)、教育(他者や組織の蓄積から学ぶ)
などにより蓄積されると想定されます。
蓄積により学習効率や経験曲線効果などが上昇し、
特定の環境に対してより効率的なリソース投資が可能になると想定されます。
③「拡大」
効率的にリソースを活用できると、リソースに余剰ができます。
似た環境に対して素早い適応や影響力の行使が可能となります。
また、リソースに余裕ができると、別の投資の選択が可能になる場合が多いです。
④「作用と反作用」
作用と反作用の考慮が必要となると考えられます。
自分たちの行動が相手側に脅威と考えられる場合、
攻撃や闘争を生み出しやすいと考えられるためです。
(危機におちいることが確実と想定される場合、リスクが高い行動にでる場合が多いです。
動物の場合、基本は逃げるが追いつめられると反撃する など)
⑤「つながりの考慮」
自分たちの及ぼす環境への影響により、状況が変化することがあります。
環境の悪化により、自分たちの資源への負の影響が生じる場合があります。
また、集団や組織等において、
バランスが崩れすぎると、最終的に自分達のリソースへの負の影響が生じる場合があります。
これが、同じ種の中でも脅威になると考えられます。
ここで、同質性を追求しすぎるのはバランスが崩れやすくなるので注意が必要です。
生物でも、遺伝的に同質性が高すぎると病気に弱くなったりします(バナナなど)。
バランスが崩れるというのは、例えば下記のようなものがあると考えます。
・同質性が多すぎ
・多様性が多すぎ
・自由が多すぎ
同質性が多すぎる場合、
同質性過多は統制によるもの大きいと思われます。
統制が大きすぎると情報が統制され、
統制のための権力の集中、厳罰の発生や自己保全のための嘘などにより
正しい情報が自分達にも伝わらず、正しい決断ができない可能性が生じると思われます。
また、同質性が高くなりすぎて、特定の状況や状況の変化に脆弱になる可能性が生じると思われます。
逆に多様性が多すぎると、方向性を見失う可能性が生じると思われます。
集団としての力が弱くなると、他の集団に対して脆弱になりやすいです。
自由にしすぎると専制や奴隷制のようになる場合があり、
権力闘争や裏切り、殺人等の頻発も含め、
リソースの最大活用が難しくなると思われます。
格差や個人主義が大きすぎると、意欲の低下やリスクをとる人間が増大すると思われます。
犯罪や、自身の利益のために組織に大きなダメージを与える行動などにつながりやすいと思われます。
自身に対する基本的な自由はあるべきですが、他人の基本的な自由を奪うのは行き過ぎと考えます。
状況により、一時的にはバランスが常に取れている状態より、
特化した状態が有利となる場合もあるのではないかとも考えられます。
しかし、過度にバランスが崩れた状態は長続きしない可能性が高いと思われます。
バランスが崩れることは、自分たちのリソースへの変動や影響、制限が大きいため、
基本的には脅威と考える個が多いと思われます。
脅威を感じる個が増え、憎悪が増大しやすいと考えます。
そのため、組織ごとの方向性はあると思われますが、ある程度バランスが取れている状態が望ましいと考えています。
⑥「備え」
自身の影響力の及ばない状況の変化や予兆に注意する必要もあると考えられます。
例えば、大規模な災害などに対応するため、備え(余剰リソースの蓄積)や
分散(生物でいえば、種の生息範囲拡大など)等で対処することが考えられます。
また、学習などの蓄積で柔軟な環境対応や、環境変更を可能にすることも考えられます。